『神秘の子羊』もお見逃しなく。この作品は『ヘントの祭壇画』の名でも知られ、元はフーベルト・ファン・エイク、ヤン・ファン・エイク兄弟が 15 世紀に描いた 24 枚(外側12枚、内側12枚)のパネル画で構成されていました。この祭壇画には興味深い歴史があります。フランス革命中にパリに運ばれ、第二次世界大戦中にドイツ軍が接収しましたが、最終的に製作地ヘントに戻ってきました。
詳しくはジョージ・クルーニー主演の映画『ミケランジェロ・プロジェクト』を見るとわかります。冒頭のシーンに出てくる名画がまさにこの『ヘントの祭壇画』です。
『神秘の子羊』は現在修復中ですが、一部を別室で有料で見られます。日本語オーディオガイドも料金に含まれていて、この解説がとても詳しかったです(時間もかかります)。時間はかかりますが、とても良い解説で、聞いてよかったです。
緻密で神々しい祭壇画で、このためにゲントに行ってよかったと思いました。
このパネルは本物ではなく、写真も撮れます。
『ヘントの祭壇画』ファン・エイク兄弟と工房 1432年
まずは内側12枚。
計26の場面を描いた12枚のパネルからなる傑作は、キリスト教神学の百科全書的な大要をなし、キリスト教救済史の始まり(外側に書かれた受胎告知)と終わり(内側に書かれた黙示録の子羊の礼拝)を結びつけている。
祭壇の内側に描かれた主題は、「諸聖人に捧げる」祭壇そのものの目的と関係している。下段には全体として行進する諸聖人が描かれている。中央パネルには聖者、殉教者、更に預言者、太祖などが登場しており、翼@パネルには正義の裁判官、キリストの騎士、隠修士、そして巡礼者が描かれている。したがって下段は、中世の芸術と諸聖人の図像を結びつけて黙示録の世界を絵画化したものであろう。
『合奏の天使』
上段右から2番め
『合唱の天使』
上段左から2番め
『聖なる隠者』
下段右から1番め
『ヘントの祭壇画』ファン・エイク兄弟と工房 1432年
『子羊の礼拝』
画面中央には祭壇の上に黙示録の子羊が立ち、その胸から血が聖杯に注がれている。子羊は四方八方からやってくる聖人たちの礼拝の対象であると同時に、キリストの犠牲と復活の象徴でもある。子羊の上空では精霊の鳩が見える。鳩は神の光の象徴である。そこから金色の光が放射され、風景と、そして何よりも四王八方から近づいてくる聖人たちを照らす。
子羊の前には洗礼盤を象徴する生命の泉がある。その空間的な配置は、洗礼を受けた者だけが聖体の秘跡と、キリストの死によって約束された救済に預かれることを暗示している。
『ヘントの祭壇画』ファン・エイク兄弟と工房 1432年
『父なる神』(中央)
左側は聖母マリア。
通常の最後の審判図と異なり、ここでは聖母と洗礼者ヨハネの描写において「代願」のモチーフは放棄され、2人の人物は習慣的な図像に反し、死者の魂のために代願することなく書物にふけっている。
『ヘントの祭壇画』の内側がキリスト救済計画の完了、すなわち来るべき神の国である天のエルサレムに捧げられているとすれば、外側は救済計画の発端を表している。下段は4つのパネルからなり、寄進者夫妻の間に石像に見せかけた洗礼者ヨハネと福音者ヨハネがいる。上段では4枚のパネルに、塔内のひとつの部屋で繰り広げられる受胎告知の場面が描かれている。左側から大天使ガブリエルが右側の祈祷台の前で跪くマリアに近づき、聖女の頭上には精霊が鳩となって出現している。
開いた窓からは町の風景が見え、聖書の場面はこの祭壇画を称賛する人々が生きている世界へ押し入られる。窓台に置かれたガラスの小瓶は、マリアの純潔を表す周知のシンボルであり、壁に埋め込まれた洗面器は祭礼具を思わせる。祭壇画の最上段には旧約聖書の2人の預言者ミケアとザカリア、そしてクマエの巫女(右側)とエリュトレアの巫女が描かれている。
『ヘントの祭壇画』ファン・エイク兄弟と工房 1432年
『受胎告知』
『ヘントの祭壇画』ファン・エイク兄弟と工房 1432年
『寄進者ヨース・フェイト』
寄進者ヨース・フェイトとその妻エリザベート・ボルリュートの等身大の肖像画は理想化されておらず、今日の基準で見てもきわめて写実的である。子供のいなかった夫妻はヘントの上層階級に属しており、モニュメンタルな『ヘントの祭壇画』で彼らの社会的地位を誇示する意図もあったと思われる。
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