『使徒パウロに扮した自画像』 1661年。
レンブラントは自身の肖像画として東洋人、兵士、放蕩息子、古代の画家ゼウクシスに扮している。その他にも、豪華で贅を極めた様々な装いの肖像画描いた。この肖像画では、使徒パウロがその特徴である巻物と短剣(ベストから柄が出ているのが見える)を持つ姿を、自身に似せて描いている。使徒パウロはキリスト教の伝道者であった。ヘブライ語のような文字が書かれた羊皮紙は、彼が神を《精霊の剣》と例えた、エフェソの信徒への手紙であることをほのめかしていると思われる。頭に巻いたターバンの両側から、レンブラントの白くなった巻き毛が飛び出している。額には長い皺が刻まれ、親しげな視線にもかかわらず、つり上げられた眉毛が、訝しげな印象を与える。
『カプティン修道士の姿をしたティトゥス』 1660年。
レンブラントの息子ティトゥスを描いたものである。フランシスコ修道会の修道衣に身を包んだ男が、視線を落とし、深く考え込んでいる。アッシジの聖フランチェスコを描いた可能性もある。フランシスコ修道会の規則に従い、修道僧たちは貧しく慎ましやかな生活を送っていた。若い男の粗末な身なりや、遠くに視線を馳せるような表情から、このような規律正しい生活が見て取れる。これこそが、本作品の狙いである。男の背景は、ぼんやりとしか描かれていない。1668年、ティトゥスは、娘ティティアの誕生を待たずしてこの世を去った。
『織物商組合の幹部たち』 1661年。
毎年、アムステルダムの織物商組合では見本検査官として5名の男からなる委員会を任命し、織物の品質の検査をしていた。1662年の委員会がレンブラントに依頼したこの肖像画は、後に世界でも有名な集団肖像画の1つとなった。特に注目すべきは、男たちが鑑賞者の方に向き直っているように見える構図である。軽蔑から歓迎の笑みに至るまで、様々な表情が並んでいる。テーブルを囲むという構図により、部屋に誰かが入ってきて、会議が中断したかのような印象を与えることに成功している。レンブラントは、鑑賞者の視線がテーブルの側面と等しくなるように描くことで、空間的な効果を高めている。この集団肖像画は、スタールストラート(スタール通り)にある織物商組合の役員室に、先に飾られていた5つの肖像画と並んで飾られた。以前からあった肖像画では、いずれも幹部がどっしりと着席している。作品の構図が他の肖像画と合うように、レンブラントが何度もポーズを書き直したことが、X線写真により明らかになっている。
『ユダヤの花嫁』 1665-1669年頃。
豪華なドレスに身を包んだ若い男女が描けれている。男は愛情深く女を抱きしめ、女は夢見るように遠くを見ている。2人は見つめ合ってはいないが、互いに体を向かい合わせて立っているところから、愛情が感じられる。美術収集家のアドリアーン・ファン・デル・フープが1883年にこの絵を購入したとき、彼は本作品について「ユダヤ人の父親が結婚する娘の首に首飾りをかけているところである」と説明した。しかし、男の手は女の左胸に置かれており、女の指先が男の手を優しく撫でるように描かれていることから、この解釈には無理がある。それにもかかわらず、今日に至るまで、本作品は『ユダヤの花嫁』という名で知られている。それは、本作品について誰もが合意できる解釈がまだないためである。聖書のイサクとリベカに扮した夫婦の肖像画という説もある。
丸みが感じられ、まるで本物のパールのような立体感。
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